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zoom RSS お嬢さん、ネオン・デーモン

<<   作成日時 : 2017/03/15 22:46   >>

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ブットビ・アブノーマル映画2本!

2017年3月8日 TOHOシネマズ川崎
『お嬢さん』 (パク・チャヌク)

Agassi (The Handmaiden) 2016年 韓 2時間25分 
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あざとさに糸目をつけないパク・チャヌクのハリウッド帰りの第1作。
ますますのあざとさに加え、予想外のB級風味に戸惑った。
3部構成の第1部を見ている途中で「見に来て失敗した!」感が強く、2時間25分を乗り切れるのかと不安になったが、3部構成の巧みな仕掛けに、納得。

『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』『渇き』と、巧みなカメラ・音・編集で扇情的に観客をそそらせるテクニックに長けた監督。『イノセント・ガーデン』ではハリウッド進出をし、真骨頂を披露した。

今回は「このミス」1位になったサラ・ウォーターズ原作の『荊の城』を大胆に翻案し、日本統治下の1930年代の朝鮮という設定に置き換えた。
この設定の狙いがポイント。
エンターテインメント的にもセンセーション的にも淫靡さ的にも。
国家と家柄そして戦時下という厳格な制約を強いる背景で、チャヌクの大胆さはエロチシズムよりもむしろ変態度の高さとして表れている。

日本文化かぶれの叔父とお嬢さん秀子、日本帰りの詐欺師・藤原伯爵、スリ集団で育ったスッキ。
設定も実際も全員韓国人だが、ほとんど日本語で喋る。

3部構成の第1部では、藤原がスッキと組んでお嬢さんを誘惑し、結婚して日本に連れ出して財産を奪おうとする話。スッキとお嬢さんは親密になり、しかし最後のどんでん返しに「なにぃ〜〜?!」で一旦終わり。

第2部ではお嬢さんの壮絶な過去が描かれる。叔父のド変態ぶりと、その叔父に歪んだ教育をしつけられる母と娘の異様な家庭と、伯爵との関係を、令嬢秀子の視点で語る。

そして第3部。第1部の裏ストーリーを、秀子とスッキの二人が主体となって暴いていく。
なるほどなるほど、伏線が回収されていき、1部のラストの真相が明かされる。
秀子とスッキは愛し合ってスッキリ、ハッピーエンドで終わる。

なんか色々と北斎やら春画やらサドやらレズやら詰め込まれたうえに、めまぐるしいテンポとチャヌク流センスのブッ飛び方はいつも以上で、ミステリーとしてもB級としてもエロとしても娯楽としても、お腹いっぱいになるけどもね。

R18という点や触れ込みに比して、エロ度はさほどでもないから期待は持ち過ぎない方がいい。

ただ、お嬢さん役のキム・ミニは虚ろな眼差しとアストラルな透明感を湛えて、浮世離れした虚無的美貌を誇っている。

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流暢な日本語が飛び交うのは、僕ら日本人にとっては異様なキッチュ感を醸している。
流暢とは言っても完璧じゃないから、「ブロークン・ジャパニーズ」に慣れていない一般的な日本人には聞き取りにくい。それなのに異様に早く上手く喋るという不自然さ。

これは初め、日本人向けに作られた映画なのか?とも思ったが、そうでもないようだ。
小さな子供に母親が人体の名称を日本語で言わせていくときに、
「ちんぽ」「まんこ」
と教え、少女がそれを復唱する。
当然場内笑いが起こるのだが、これをどう考えたらいいのだろう。

TVはもちろん、映画でもこんな単語を公然と耳にしたことは滅多にない。
そもそも、この時代にこの言い方が一般的だったのかどうかも怪しい。
この後のシーンでも何回か、このワードが使われる。
まさか日本人を笑わせるためにわざわざそんなことをするのではないだろう。

識者によれば、この放送禁止用語をNGにされないようカムフラージュするために、日本語を使う状況設定にしたのでは、とのこと。
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★★★☆



2017年3月12日 UPLINK
『ネオン・デーモン』 (ニコラス・ウィンディング・レフン)

The Neon Demon 2,016年 仏・デンマーク・スウェーデン 1時間58分 原案:ニコラス・ウィンディング・レフン 脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン、メアリー・ローズ、ポリー・ステンハム 撮影:ナターシャ・ブレイア 美術:エリオット・ホステッター 衣装:エリン・ベナッチ 編集:マシュー・ニューマン 音楽:クリフ・マルティネス 出演:エル・ファニング、キアヌ・リーブス、カール・グルスマン、クリスティーナ・ヘンドリックス、ジェナ・マローン、アビー・リー、ベラ・ヒースコート、ほか
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チョー・カッコイーーー!
レフニズム、降臨。
センス、センス、センスが駆け抜ける。
開始直後から、次の瞬間何が現れるかわからないスリル。
視覚と聴覚と振動覚が一気に粟立つ。
交感神経と副交感神経の波が衝突する。
脳脊髄液にさざ波が立ち、脳内ホルモンが流出する。
後頭部と会陰部がゾワゾワする。

重低音の震動と高周波の電子音がリズムを刻んで画面を切り裂き、色彩のセンスが飛び込んでくる。
モデルは鮮血で塗られたり、金の塗料で塗られたり、強烈なオブジェとなって危険信号を発する。
その被写体を置く画面構成も、彩る照明も、それをシュートするカメラも挑発してくる。

「覗くな、危険。」
なにが危険なのか。

アブノーマルな世界へ道を外してしまうんじゃないかという怖れ?
サブリミナルな洗脳手法的匂い?
夢がバッドになりそう?

歓迎しましょう。
こんな刺激屋(スティミュレイター)、今の映画人の中に誰がいる?
グザヴィエ・ドランくらいか。
(中島哲也なんかと勘違いしないでね)

ハイセンスな音楽は、クリフ・マルティネス
『セックスと嘘とビデオテープ』『スプリング・ブレイカーズ』のほか、『ドライヴ』からはレフンとタッグを組んでいる挑発組の一味だ。

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もう、物語なんかいらない。

短絡的に言ってしまえば、レフン版『ブラック・スワン』かもしれない。
田舎から出てきたモデル志望の16歳ジェシー。
あどけない無垢な可愛さと美しさが、生き馬の目を抜く業界では稀有な崇高さとしてすぐに認められ一足飛びにスターへ。

業界No.1の天才肌のカメラマンをも一瞬で興奮させる。
「みんな出ていけ」と言って部屋を真っ暗にし、スポットライトを浴びせ、射るような目で「全部脱げ」
二人きりで何が始まるのかとテンション最高潮にさせて、展開した耽美的な撮影シーンは、壮絶な美しさ。
この映画の白眉ともいえる官能的なシューティングは、今宵も瞼の裏できもちよい夢を投影してくれるだろう。

野心渦巻くモデルたちのジェラシーと、レズビアンのメイクアップアーチストからのリビドーに振り回されつつも、次第に強靭でクールな野心を獲得していくジェシー。

部屋に雌ライオンが入り込んだのは何なのかと思っていると、後半は悪夢がスクリーンに入り込んでくる頻度が増して、映画はダークファンタジーの色あいが濃くなる。

主役がいなくなってからは、糸が切れた凧のようにあらぬ方向に動き出す。
幻想映画よろしくグロテスクなことを始め、シュールさに呆気にとられた状態で放り出されて終幕。

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13年前、『プッシャー』で時代の寵児になったレフンは、一気に負債を抱えて奈落の底に突き落とされ、泣き叫ぶ乳飲み子とすすり泣く妻を見つめるしかなかった時期があった。
その後『ドライヴ』で再び名声を獲得し世界に躍り出たというのに、その後も守勢に回る素振りも見せず、『オンリー・ゴッド』では残忍でブッ飛んだ暴力性だけを追求し、今回も『ドライヴ』で見せたメルヘンは最小限に抑えて先鋭的な耽美スリラーをアグレッシブに仕掛けてきた。
大衆に迎合などしない、レフニズム美学で攻めて攻めて攻める一方のチャレンジングな監督魂には、ハリウッドは似合わない。

ただし、「危険」の理由にはもうひとつ。
この映画はおすすめしないよ。
ということ。
好みが真っ二つに分かれる。
よくカンヌに出品などしたものだ。

少しコーフンして書いてしまったが、星の数は以下の通り。


★★★☆

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「お嬢さん」
「オールドボーイ」のパク・チャヌク監督作品。これは観る際には要注意だ。好き嫌いがはっきり分かれるとか、単純にそういう問題ではない。この摩訶不思議なパク・チャヌクワールドにノレるかノレないか。ノレればホント記憶に残る一作となるだろう。(役者では、流石のハ・ジョンウ、オーディションで選ばれたという新人女優キム・テリが個人的にはすごく良かった!)設定は、日本統治下の韓国。日本からの統治者側の一族としてこの地に住む美しい女秀子(キム・ミニ)は先祖からの財産を引き継ぎ、広大な屋敷に叔父の上月(チョ・ジヌン... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2017/03/24 14:55

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